リールオーバーホール
リールメンテナンスドットコムでは、リールの分解・洗浄、劣化した部品の交換、グリスアップやオイルアップ、クリアランス調整、そして組み直しまでを含む作業を「リールのオーバーホール」と位置付けています。
新品時の状態を理想とし、部品の汚れや劣化によって低下したリールの性能を、可能な限り新品に近い状態へ戻すことをオーバーホールの目的としています。
また、新品以上の性能を目指した改造作業を「チューニング」と定義しています。
ただし、改造には限界があるため、お客様の理想をすべて実現できるとは限りません。詳しくは「チューニング」のページをご覧ください。
整備依頼フォームにご入力いただいたお悩みや不具合の内容をもとに、リールの現状動作を確認いたします。
この確認作業は、代表者と担当スタッフによるダブルチェックを基本としており、個人の見解に差が生じないよう慎重に行います。
また、弊社独自の整備管理システムを活用し、作業担当スタッフが作業前にリールの第一印象や現状、そしてお客様からいただいた情報との違いを詳細に記録します。
これらのデータは、お客様への状態説明や今後の技術向上に役立てています。
整備作業では、作業開始前の状態把握や不具合の予測が特に重要です。
作業開始時には「作業開始のお知らせ」をメールにてご連絡いたしますので、ご安心ください。
ネジの緩みや部品の位置、裏表の間違い、汚れや塩分の付着、部品の固着などを確認しながら分解を進めます。
分解中に気付いた点は、忘れないよう整備システムに入力し、情報を記録します。
また、分解時にはベアリングチェッカーを使用してベアリングの動作検査を行い、不具合が確認された場合は、該当するベアリングの型番と装着位置をシステムに登録します。
ブラシや綿棒、専用の洗浄剤を使用して、汚れや古くなったグリス・オイルを丁寧に除去します。
サビや腐食についても、可能な限り取り除く作業を行います。
塗装が弱いボディやパーツ、または油脂による侵食の恐れがある部品については、整備システムに蓄積されたノウハウを活用し、塗装を剥がしたり侵食させたりしないよう十分注意を払っています。
特に汚れがひどい場合や、状況に応じては超音波洗浄機を使用して効率的な洗浄を行います。
不具合と判断されたベアリングのうち、清掃後に再利用可能と見込まれるものは、オイルアップを施したうえで再利用します。
この判断基準はシステム内に明確に記載されており、スタッフ個々の見解による判断ミスを防ぐ仕組みを整えています。
再利用試験を実施した結果、不具合が確認されたベアリングについては、一旦交換し、再度組み立てを行います。
使用するベアリングは、弊社のオリジナル(JIS規格)ベアリングに交換いたします。
また、各部品に最適なグリスやオイルを塗布しながら組み立てを進めます。
整備依頼フォームでご記入いただいた「ご使用ジャンル」や「使用水域」に応じて、適切なケミカルの使い分けも行っております。
センター出しが必要な箇所やネジ類のトルクについては、整備システムに記載された基準に基づき、正確に締め付けを行います。組み立て作業中に動作チェックが可能な箇所については、チェックを実施し、その結果をシステムに入力いたします。
不具合のあるベアリングは一旦交換し、組み立て後に動作確認を行います。
この時点でゴロ感や違和感が残る場合は、ギア不良やベアリング以外の部品に問題があると判断できます。
判断基準は、整備システムに蓄積されたノウハウと、清掃・組み立て時にチェックした傷や破損箇所をもとに行います。
動作確認は、整備前の確認と同様に、整備担当者と代表者によるダブルチェックで実施します。
ダブルチェックが完了しましたら、交換が必要と判断したパーツをピックアップし、システムに入力いたします。
その後、「作業経過のご報告」としてお見積もりのメールを送信いたします。
お見積もりには、技術料、一時的に交換したベアリング代、交換が適切と判断された部品の明細と部品代、整備費用の合計が記載されています。
お客様のご予算と照らし合わせて、どこまで作業を進めるかについて、メールでご相談させていただきます。
ご予算に合わない場合は、部品交換のキャンセルも可能です。
なお、弊社の作業手順の特性上、技術料は必ずご請求となります。
この時点でお客様のご了解を得て作業が終了した場合は、次のステップに進みます。
ベアリングは常時在庫しておりますが、純正部品は基本的に都度手配となります。
ただし、交換頻度の多い純正部品については在庫がございます。
お見積もりにご同意いただけましたら、その時点でメーカーへ部品手配をいたします。
部品の種類やメーカーによって手配時間が異なりますので、こちらのページまたはお見積もりに記載された手配納期をご確認ください。
手配した部品が届き次第、再度分解し、部品の交換と調整を行いながら組み立てを進めます。
お見積もり後に部品の戻しやキャンセルのご要望があった場合も、同様に再分解し、部品交換と調整を行います。
部品手配がない場合、ベアリング交換のみで作業が完了した際も、最終的な動作確認を実施します。
いずれの場合も、動作確認後にお支払いのご案内をさせていただきます。
「リールをオーバーホールに出すのは、どのくらいの周期・タイミングで出すのがいいのでしょうか?」というご質問をよく受けます。
弊社では、以下のようにご案内しております。
海水・汽水使用1カ月の釣行回数4回以内で毎月釣行
淡水使用1カ月の釣行回数8回以内で毎月釣行
最低1年に1回を目処に
オーバーホールに出してください。
海水・汽水使用1カ月の釣行回数6回以内で毎月釣行
淡水使用1カ月の釣行回数15回以内で毎月釣行
半年に1回を目処に
オーバーホールに出してください。
上記の周期内であっても、明らかな違和感を感じた場合は早めにオーバーホールに出してください。
早期対応することで、さらなる不具合の悪化を防げます。
また、出すタイミングが遅れると、その分施工料金にも影響が出る可能性があります。
ご自身でリールの使用頻度を把握することも、長持ちさせるための重要な要素です。