2017.11.17
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
弊社では、事前見積りはせずに、実物を見て、分解検証し、不具合解消にかかる部品代を計算しますというお話を何度かさせて頂きましたが、
今回は検証後に交換を中止しお返しさせて頂いた一例をご紹介します。費用がかかりすぎる時はキャンセル可能ですよという一例としてご参考までに。。。
12ルビアス3012H
回転が時々重くなり回らない、一定の力を加えるとまわっているが少しすると周りにくくなるとのことでお預かりしました。
分解前のテストでは、ベアリング不良は確定。あとはギヤ磨耗しているか、ワンウェイクラッチにサビがないかなど、分解してみてからの検証内容次第といった所見です。
さっそく分解、スプールンポドラグラチェットが落ち込んでます。
ドラグワッシャーがペチャンコでした。。。
ドラグワッシャX3枚 部品代600円なり。
ローター、ベールとエンジン部分全て分解します。
ベアリング不良7個 7,390円
ワンウェイクラッチ サビサビです。。。 2,200円
マグシールドも飛んでいます。。。 1,900円
ピニオンギヤ、ドライブギヤ、ともに目視出来るほど摩耗 8,100円
メインシャフト 取り付け部がグラグラで、部品は塩だらけで腐蝕 1,200円
オシレートギヤ 4個歯こぼれ 800円
現時点で、工賃+部品代で26,890円(税別)。。。。。新品はもうありませんが、買えますよね。。。。
今回は「ベアリング交換だけやって、ギヤのゴリゴリを我慢されますか?」という御提案以前の問題で
かなり重症でしたので、組み付け前にお客さまへご連絡。
即答でキャンセルとなりました。
ご請求4,700円(税別)の工賃とお返しの送料となりました。
わるい部品はそのままで、クリーニングした状態でグリスアップと組み込みを行いました。
回してみると、クリーニングの成果でよく回ります。ごりごりと引っ掛かりと異音が有り、気にしなければ釣りにも使えそうですが、メインシャフトの腐食がひどかったので、魚を掛けたらリールが動かなくなりそうです。。。お客様へは状況お伝えし、この状態でのお返しとなりました。
弊社では、分解検証後の部品計算となりますので、事前のお問い合わせや、分解前に回しただけでの概算見積りはやっておりません。
今回のようなパターンは、お客様のリスクとして有り得る事例ですので、あえてご紹介させていただきました。
殆どの場合が、ベアリング不良の交換だけで不具合は解消します。
状態が悪ければ、ギヤ交換まで行えばほとんどの不具合は解消できるパターンが多いです。
ただ、今回のように、分解前の検査でどこまで不具合があるのかを予測でき無いことがあります。
メーカーが分解せずに見積りする時に、高くなってしまうのもうなずけます。今回みたいなことがあり得ますからね。。。。
回した時点でかなり状態が悪い場合は、その時点でお客様へご連絡することがあります。(このパターンの方が多いです)
ただ、最終的にどこまでの金額がかかるかはやはり分解してみないと正確にはわかりません。
弊社へご依頼いただいても、リスクゼロでは無いことをご了解の上でお申込みいただけますと幸いです。
お預けいただく前に、状況が悪い場合は、しっかりとご相談ください。
リールメンテナンスドットコム 内田雅和
2017.11.13
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
弊社での部品交換のタイミングと、考え方、作業修正についてお話しさせていただきます。
リールの部品交換は、ご請求金額にも直結し、オーバーホール後のリールの仕上がり具合にも深く関係してきます。
そんな理由から、お申し込みの時に添付していただく「整備依頼書」には、部品交換を「お任せで交換」もしくは「都度連絡」の2パターンでお客様のご希望をチェックしていただく形にしております。
弊社では、ベアリングは消耗品という考え前提で作業をしております。ですので、常時リール用のベアリングは在庫をしています。
リール到着後、順番が来て作業に取り掛かりますと、ひとまず全分解して、上の写真のようにバラバラにします。
ギヤや洗浄可能な部品は、全て超音波洗浄します。
ベアリングはベアリングチェックツールを使い、ゴロゴロしていないか、異音は出ていないかをチェックし、該当するものは一旦強制的に交換します。
良し悪しが微妙な場合は、一旦脱脂洗浄し再度オイルアップしてフィーリングを確認します。中のボールが磨耗していない場合は、この作業でベアリングのフィーリングが復活することもあります。洗浄が終わったら、グリスアップ、オイルアップ、ベアリング交換、部品の組み付けを行い、ひとまず動作確認を行います。
この時点で、動作OKでしたら基本的に作業は完了です。
ここまでの工程、ほとんどのリールが1時間以内に終わります。
ここで、部品交換「お任せ」のお客様へは、お支払いのご案内をさせていただきます。
部品交換「都度連絡」でご希望のお客様へは、現状のリールの完成状況と、合計金額を一旦お知らせし、
ご予算が合わない場合は、交換したベアリングを戻す作業もすることがあります。この場合の追加費用はかかりませんが、動作保証はできません。
といっても、まず「戻してください」と言うお客様は、ほとんどいらっしゃいませんけど。。。。(過去2名いらっしゃいました)
リールの不具合は、80%以上がベアリング不良といっても過言ではありません。
ベアリング不良+ギヤ不良、その他の部品不良と言うことはよくありますが、ベアリングが全部OKでギヤだけ磨耗という例は、今までのところ実例がありません。
ですので、弊社では分解した時に悪いベアリングは交換して、リールがどのようになったかによってお客様にご相談という流れで作業をしております。
この方がフィーリングの良し悪しを確実に把握できますし、ベアリング交換でOKであればその時点でお返しできる状態になるので、作業の時間短縮にもなります。
問題なのは、ベアリング交換をしてもフィーリングが良くならない、不具合が治らない場合です。
ギヤ不良、ワンウエイクラッチ不良、状況によっては他の部品の不具合が色々なパターンで絡み合って来ます。
分解時、実はこれらの不具合はだいたい把握できることが多いのですが、実際には組んでみないとなんとも。。。だとか、どこまで妥協できるかどうかのニュアンスも、一旦組み込んで動作テストしないとわからないのです。
動作テスト後、確実に不具合のある部品をピックアップし、料金を計算し、お客様へご相談という流れになります。
「お任せ」ご希望のお客様でも、金額が高額になりそうな場合や、メインギヤ交換が必要な時は、念のためご確認後にメーカーへ発注しております。
もちろん「都度連絡」ご希望のお客様へは、金額お知らせし、ご了承いたいてからのメーカー発注にしております。
金額が合わない場合は、部品手配せずお返しすることも可能です。
また、ギヤの磨耗が大きく、ベアリング交換した状態でもフィーリングがかなり悪い場合は、一旦交換したベアリングを全て戻してお返しすることもあります。
規定の工賃だけは100%発生しますが、ベアリングを戻す作業の手数料などはいただいておりません。
基本工賃はメーカーより高めに設定しておりますが、ここまでの作業を含んでの工賃設定です。考え方によってはお安いのでは?と思います(笑)
金額が判明するまでお時間はかかりますが、症状と金額がはっきりするので、お客様もご納得の上での作業を進行できるのです。
リールメンテナンスドットコム 内田
2017.11.10
みんさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
弊社では、「全分解・全洗浄・グリスアップ・調整のフルオーバーホール」という言葉を使いますが、スピニングリールのスプールの分解清掃も含まれています。
その際に、ドラグワッシャーのチェックはもちろん含まれますが、目視で明らかに磨耗していたり、変形していない限りは弊社からの交換のご提案はしておりません。
特にカーボンディスクドラグは、ある程度の厚みとドラググリスがしっかり効いていれば力はそこまで落ちません。厚みに関してはかなり目視では確認しづらいです。
ドラグに関しては、気なることがありましたら、必ず整備依頼書でコメントいただけますよう、よろしくお願いいたします。
さて、今回の事例は、ダイワセルテートのドラグワッシャーの事例です。
ATD含め、フエルト素材のドラグワッシャは、磨耗してくるとフエルトの素材が布クズのようにスプール内にたまったり、淵からはみ出してきます。
フエルト素材は明らかな磨耗をするので、見た目にもすぐにわかります。
スプールからドラグノブを外して写真のように少し斜めからのぞいて見てください。
写真は極端な例ですが、ドラグリング(針金みたいなストッパー)とドラグラチェット(カリカリ音がする金色のふた)の間が結構空いてるのがわかりますでしょうか。
この状態だと、かなりドラグワッシャーがすり減ってます。
ドラグもかなり締めないと効かないはずです。
開けてみるとこうなっておりました。
指に2種類挟んでいます。
左側が磨耗したドラグワッシャです。磨耗というより潰れてぺちゃんこ、紙みたいに硬くなっています。
右が新品のドラグワッシャ。倍以上厚みがあります。
これにドラグワッシャー素材に適合するドラググリスを使ってグリスアップして組み込みます。
もちろん、スプールのクリーニングを行なった後ですよ!
そして、ドラグワッシャが正常だと、外観からも一目でわかります。
新品のドラグワッシャが入りましたので、先ほどのドラグリング(針金みたいなストッパー)とドラグラチェット(カリカリ音がする金色のふた)の間はほぼ空いていません。
使っていくうちにすり減りますので、ここが下がっていきますが、目視で何ミリ減ったら交換という基準ではなく、
ユーザーさんの感覚で「ドラグノブを結構締めないと効かなくなった」とお感じになった時期が、ワッシャーの交換時期の目安だとお考えいただければ大丈夫です。
あくまで、ダイワのスピニングリール、かつフエルトワッシャ採用のドラグの一例です。
シマノのリールでもフエルトワッシャを採用している機種は多いですが、ダイワほど見た目ではわかりにくい場合があります。
シマノの場合は、フエルトのカスがかなりラチェット部に出てきたなと思ったら、結構すり減っている場合が多いです。
大型機種はクロスもしくは平坦のカーボンワッシャーが多いです。こちらは見た目に大きく変わりません。
弊社の作業時に目視でわかるほどの磨耗は、必ず交換のご提案(するしないはお客様のご意志次第)をしておりますが、ドラグの効き具合に関する感覚は、
各個人で違いますし、同じリールでも釣りのジャンルやドラグを多用する、多用しないでも変わってきます。
ドラグに限らず、リールの不具合や違和感は、必ずユーザーさんの気になる部分を細かくお伝えください。
もちろん、いつもブログでお伝えしているように、ユーザさんのその気になる部分が「不具合ではない」場合もあります。
ただ、何もコメントなしでは弊社でもなかなか把握しづらい場合があります。
メーカーとは違い、せっかく「直接相談できる」のが弊社の魅力ですから、整備依頼書や事前のお問い合わせで、細かく聞いていただいたり、ご報告いただくことは、
最終的には実際に使っていただくユーザーさんの為にもなります。
どうぞ、直接相談できるメリットを最大限に活用してくださいね!
リールメンテナンスドットコム 内田雅和
2017.11.08
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
昨日の実釣研修の報告です。
スタッフ植村には、小型ベイトリール(海水使用・淡水使用どちらも)の整備担当としてやってもらってますが、バス釣りの経験はあるも、沖釣りの経験はないということで、「小型ベイトリールを実釣で使うときのフィーリング」を体感してもらうべく、実釣研修として、スタッフ3人で行って来ました。
お邪魔したのは、私内田がオフショアジギングをゼロから教わった遊漁船、わかしお丸さん。
始めた頃は、毎週予約を入れて時化ない限りは通い続けていました。
弊社マネージャー(私の妻ですが)を釣りデビューさせた船でもあり、もうかれこれ5年以上ぶりくらいのご無沙汰でした!
今回は、ライトジギング午後便半日で計画。最低人数3名揃うので八尋船長に相談し、タイラバ出船していただくことになったのですが、ちょうど他のお客様でタイラバご希望の方々がいらっしゃり、乗り合い6名での出船となりました。(正確には、私たちだけルアーで他のお客さんはえびラバ、テンヤでした)
行きました、どうしましたは、割愛します(笑)
水深60m前後、人口漁礁の点在するポイントのキワをシーアンカー入れて流しました。
始まってしばらくで、安定のマネージャーにヒットでしたが、今回の主役はスタッフ植村なので、まずはファイトシーン
上がって来たのは、可愛いすぎるイトヨリ。
そして、もう1枚、レンコかなと思ったら
塩焼きサイズのマダイ!
通常はリリースサイズですが、スタッフ植村初めての釣果ということもあり、2枚ともお持ち帰りで、食卓を賑わせたそうです。
ちなみに、「初めての釣果」は正確な情報ではなく、今回2回目の挑戦でした。挑戦1回目は数ヶ月前ですが、開始1流し目、入れパクでそこそこサイズのマダイゲットだったんですが、船酔いきつく終日ダウンで、「釣った」という気分になってもらえなかったので、今回、べた凪の日を選んで計画しました。
回転フィーリングの影響、テンションがかかるとクラッチが切りにくい、サミングしないとバックラッシュするなど、釣りの技術としては基本中の基本なのですが、机の上で理論だけで作業をするのではなく、実際に釣りに使うユーザーさんの立場になってリールの整備をするという、弊社原理原則にのっとっての研修でした。
途中、マネージャーのタックルで竿を出してみたりで、リールの機種や大きさによるフィーリングの違い、機能の違いも実感してもらえたと思います。
で、噂の安定の釣果の弊社マネージャー
本人的には小さい、60でしたが、お手本にはなりました!
そして、代表は!!!!
スタッフがヒットした時のアシストと、リール操作の教育に徹したので、釣果が望めなかったということにしてください(笑
IZANAGIさんで船長に修正してもらった竿の振りとレンジキープ意識して、レンコをスローピッチでかけたのですが、
自分の中では、「マダイ狙います」だったので、超恥ずかしくて写真撮ってませんwww
半日で女性にも体の負担が軽くて済むので、凪を狙って猛特訓して、2人目のタイラバクィーンを育てます(笑
代表が竿ふりの練習をしたいからという噂もあります(笑
来週のお客様と一緒にタチウオ研修計画していますが、天気が微妙ですでに泣きそうです。。。
リールメンテナンスドットコム 内田雅和
2017.11.07
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
本日11月7日は、スタッフ研修のため臨時休業とさせて頂きます。ご了承下さいませ。
スタッフ植村、オフショア研修2回目です。前回はタイラバ初挑戦、初乗船、最初の流し1投目でいきなり入れパクという快挙後、船酔いで終日ダウンでした。。。
本日は半日便午後コースで挑戦です。スタッフといっても家族親戚3名ですが。。。。自分はその横でいつも通り遊んできますwww
リールメンテナンスドットコム 内田雅和
スタッフ一同
2017.11.05
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
定期的なオーバーホールの一つの基準として、「1年に1回は」というご提案を弊社でもしておりますし、メーカーさんでもそのようなアドバイスがあります。
あくまで目安としての期間です。
違和感を感じたら出した方がいいかもしれませんという一例です。
リールは15ルビアス3012H、2017年3月にご購入、月間1〜2回のご釣行で、約30回の使用で回転に違和感、異音がで始めたということでご依頼いただきました。
ご使用用途は、サーフヒラメ。潮かぶりや砂の危険性があるフィールドですね。
使用回数的には標準的なので、もしかしたら機種特有の違和感やギヤノイズ、マグシールドノイズなどを気になさっておられるのかなと思いましたが、現物拝見し、テスト1回転目で、ザラザラ。。。ベアリング不具合確定です。ギヤは大丈夫そうな感触!
スプールのドラグ部分には若干水分が入った形跡。
ドラグは入れ直さなくて大丈夫そうなので、クリーニングのみで対応。
スプール外して、スプール受け部分
スプール受けのベアリングが、がっつり錆びて固まってます。いわゆる固着。全く回らないです。
この時点でスプールからの水分侵入確定です。
そして、以前もお話しした「軸を伝って水分が入る」まさにそのまんまの写真が取れました。
シャフトが結構な良い色になっているのが見えますか?
この時点で、ローターナットに入っているベアリングも塩がみ確定。
検査しましたら、ダメでした。
例によって、マグシールドも心配しましたが、こちらは問題なくマグオイルも保っており、
その下のピニオンギヤに入っているベアリング2個とも全く無事でした。
以前もブログで紹介しましたが、マグシールドはこのようにちゃんと機能している場合が多いので、特にメインのマグシールドは抜かない方がいいと思います。
ソルト使用なら絶対ですね。
そして、マグシールドでは防げない、シャフトからとサイドからの塩水侵入で、
エンジン内部に塩分結晶、グリスは真っ黒け。。。
ドライブギヤ左右のベアリングもガリガリという感じでした。ウォームシャフトベアリングも塩がみ。
最終的に、ベアリング6個交換で、バッチリの回転が復活。
ギヤノイズもなく、ややマグシールドの摩擦音は出てますが、問題ない許容範囲内。
11,080円(税別)+お返しの送料でした。
最近よく感じるのは、使用回数、使用状況にある程度は左右されますが、塩がみだけは本当に運みたいなところあると思います。
オフショア釣行で2年オーバーホールなしでなんともないリールもあれば(開けてみるとしおしおですが。。。)
今回のようにご購入後の使用回数が少なくても、バリバリベアリングが錆びてしまうこともあります。今回のユーザーさんの釣行後のメンテ聞いてみると、ちゃんと水洗いもドラグ締めもされているので、特段問題なかったです。
「違和感が出たらひとまず相談を」が一番の近道のようです。
可能な限り、本当にそれが違和感なのか、機種独特なのか、事前にしっかり予測を立ててお話ししています。
今回みたいに、使用過程で不具合が出たっていうのも使用回数関係なくありますので!
月並みですが、やはりまずはご相談を!ですね。。。。
リールメンテナンスドットコム 内田雅和
2017.11.03
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
シマノのマイクロモジュールギヤ搭載の機種について、「異音がする」というご意見が多いので、ご紹介させていただきます。
新型になったアンタレスに始まり、現在のシマノのベイトリール、スピニングリール共に多数搭載されている、マイクロモジュールギヤ
「新品なのに異音がするんですよ」というご意見をたまに頂戴することがあります。
ほんとんどが、異音ではないギヤの音をご指摘されている場合が多いです。
「モーターのような音」
「ウィンウィンという音」
このような音はマイクロモジュールギヤの特性なので、不具合ではなく正常です。
早いリトリーブや、オシアジガーなどでしゃくる動作をするとこの音が出やすい傾向にあります。
また、経年でメインギヤのグリスが薄くなって来たときに音を拾いやすい傾向にもあるようです。
同じ機種で、個体差で音の大小があったり、機種によって音の大小もあるようです。
上記写真のメタニウムMgLは、ベアリング不良もありましたが、オーバーホールのグリスアップ後、ギヤノイズは大変静かになりました。
ご注意いただきたいのが、経年が経っていないから不具合ではなく、この音は正常なんだと勘違いをされないことです。
結構弊社サイトで、「これは正常ですよ」と書いているので、何でもかんでもある程度は音が出ると勘違いなさっているユーザーさんもいらっしゃって、
先日もお預かりしたら、ギヤや正常のノイズではなく、明らかに不具合があったという事例もありました。
なかなか判断がつきにくいとは思いますが、現行モデルであれば、釣具屋さん店頭で同じリールを触らせてもらって確かめることが一番正確です。
弊社もお電話やメールでのご相談なので、お客様のリールの状況を事前に確実に把握することができません。
弊社の引き出しからあらゆる不具合や不具合でない「パターン」がありますので、ご紹介して照らし合わせて予測を立てるだけです。
最終的には「お預かりしてみないとわからない」のが現実ですが、少しでも事前の判断材料になればとご紹介をさせていただいております。
リールメンテナンスドットコム 内田雅和
2017.10.29
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
釣行後の水洗いが大事なことは、このブログでも触れていますが、特にオフショアリールの水洗いを怠ると大変なことが起こる一例です。
このリールは、ある遊漁船の船長さんのリールです。
港の環境によっては、真水の水道設備がなく、釣行後にすぐに水洗いができないことがありますよね。
ましてや船長さんの持ち物やレンタルタックルだと、連続で予約が入った時なんかは、きちんと洗えずにそのまま次の日に使うなんてこともあるかもしれません。
船長のリールに限らず、一般ユーザーさんでも、数日連続予約入れて、釣りの後そのまま船内で預かってもらうなんてこともあるはず。
塩水を甘く見てはいけません。
今回のリールは11オシアジガーなので、割とスムーズに水を排水する機構になっていますが、塩水が残ったままで生乾きしてしまうと、塩分結晶ができます。
一晩あれば十分です。しかも翌日の釣行が晴天なら、移動中に見事な天然塩が完成するはずです。
今回は、運よくベアリング不良だけで済み、ワンウェイクラッチやギヤは無事でした。
それでもベアリングはほぼ全滅でしたので、合計1万中盤になってしまいました。
「今日ぐらい洗わなくてもいいだろう」は命取りですよ(笑
リールメンテナンスドットコム 内田雅和
2017.10.28
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
レベルワインドの付いているベイトリールで、「ラインの巻き取りが片方にかたよってしまうんですよ」というご相談を頂戴することがあります。
リールの機能に問題がある場合もありますが、そのほとんどが他の原因であることが多いので、ご紹介いたします。お問い合わせの前の検証材料にしてみられてください。
・新しくラインを入れる時にきちんと入っていない
ご自宅で新品ラインをご自分で入れられるユーザーさんに多い事例です。ライン巻き取り機やセッティングで、リールのセンターとラインスプールのセンターがあっていなかったり、巻き取る時にメカニカルブレーキがゆるゆるで片方に片寄ったりといったことが原因で、片寄りが生じてしまうケースです。
セッティングをしっかりして、途中途中で形を確認しながら巻いていけば防げます。
・下巻きをしている
きちんと下巻きをして入れば良いのですが、下巻きの長さが必要だから結構乱暴に巻いて、下巻きの時点で片寄っているなんてことも結構見ます。
また、下巻きのラインと本線ラインの太さが違いすぎて、下巻きのラインの束の間に入り込んで巻き取りがガタガタになってしまうということもたまに見かけます。
下巻きとはいえ丁寧に巻きましょう!あと本線ラインとのバランスも必要です。
・新品時はちゃんと巻けていたが、釣りに行ったら片寄った
これも結構多いですね。時にオフショア、沖釣りで使う場合の方が多いかな。。。
ラインを早く落とすために、メカニカルがゆるい場合が多いですよね。なので、先ほどと同じ理由で、メカニカルがゆるゆるで、スプール位置が左右に動き、片寄ってしまうということがあるようです。また、メカニカルはしまっていても、回収時に竿が曲がって船との角度もついて、ラインが片寄った状態で巻かれてしまう場合もあります。
いずれの場合も、大きな片寄りではなく、釣りから帰って、「あれ?」と思ってご相談いただくことが多いです。一度巻き直すか、釣りの時にある程度のテンションで偏らないように巻きとれば解消可能です。
・明らかに半分から片方だけに寄っている、一部分だけ厚く寄っている
これは完全にリールの不具合ですね。レベルワインドが動かなかったり、途中で止まったり、端っこだけで少し止まって、ある程度で動いたりなどなど。。。
ただ、この場合は動きでわかるので、ほとんどのユーザーさんが「レベルワインドがおかしいです」とご相談されます。さすがにわかりますよね(笑
今回の件だけではなく、トラブルや不具合の原因を全てリールのせいにしないで、一度冷静に状況を把握、判断して見られてください!
ちょっとした時の洞察力、観察力は、きっと実釣にも役立つはず!
リールメンテナンスドットコム 内田雅和
2017.10.24
みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコムの内田です。
最近レバーブレーキリールのご依頼が多くなってきました。季節もあるのでしょう。
中古ショップ時代からの印象なのですが、スピニングのローター部分から注油をされるユーザーさんが多いように思います。
特にレバーブレーキリールは、10台に6台くらいはそうなってます。
ここですここ!(ぼやけてますが、ドライバーが指し示している穴)
穴があるからといって、注油してはいけません。この穴は、右側にあるネジを差し込む穴の予備です。ローターナットの位置によって、どちらかの穴を使ってネジを入れます。
通常のスピニングリールでは、この下にワンウェイクラッチという逆転正転を切り替える装置がありますし、
レバーブレーキリールでは、この下に思いっきりブレーキ機構が入っています。
細やかに注油すればするほど、逆転したり、ブレーキが効かなくなる原因となります!
ここへは絶対に注油しないでください。
メーカーは違いますが、同じくローターの穴に注油しすぎてすごいことになっている実例です。
これはまた極端な例ですが、この部分だけではなく、ボディ内部にブシューとグリススプレーを吹いてあるリールもよく見かけますが、
グリスの継ぎ足し、過多な注油は、リールの機能を損ねます。
継ぎ足していいのは、秘伝のタレだけです(笑
グリススプレーのお話は別の機会にじっくりお話ししますが、通常のセルフメンテナンスでは、私はグリスは必要ないとご提案しています。
ベアリングへの注油で十分です。正確には、グリスは脱脂洗浄して適材適量塗り直さないと、パファオーマンスを発揮できませんので!
だからこそ、「定期的なオーバーホール」が必要になってくるのです。
リールメンテナンスドットコム 内田